「ジュピター」聴き比べ~その6:小澤征爾=水戸室内管弦楽団/小編成の魅力~

2006年12月7・9日、水戸芸術館コンサートホールでのライブ録音。SACD(Multi 5ch)ハイブリッド盤(SONY)。
水戸室内管弦楽団はヴァイオリン:13、ヴィオラ:4、チェロ:4、バス:2という小編成。メンバー表には錚々たる方々の名前が並ぶ。管楽器も、工藤、宮本、イェンセンほか名手ばかり。
そういえば、宮本氏の著作の中に引退直前のこの2回の演奏会で「ジュピター」が上手く吹けなかったという記述があったが、この録音を聴く限りまったくそのようなことはなく、オーボエはとびきり美しい音色で見事な演奏となっている。
http://zauberfloete.at.webry.info/200801/article_15.html
演奏時間は次の通り(第1、4楽章の提示部を反復している)。11:31/7:47/4:26/9:02
全体的にオーソドックス、やや速めのテンポで現代的なスマートな演奏となっている。弦楽器の人数が少ないせいか響きがすっきりしており見通しが良い。もちろん弦楽器奏者一人一人の技術が高いということも影響していると思われる。管楽器も素晴らしく上手い。
弦楽器から木管、金管、ティンパニまでの各パートが整然と見通せ、スコアを見なくてもすべての音が聴こえてくるような響き。とはいえ無機的にはならず、特にフレーズの終わりを丁寧に処理するところに好感が持てた。
楽譜はベーレンライター版のようで、メヌエットの27小節の管楽器は明らかにスラーをかけている。また、終楽章のフルートの(トリルではなく)ターンもはっきりと聴こえる。
最も印象的だったのは終楽章の付点四分音符+八分音符、(~付点二分音符)の処理。普通は「タンタター」、と演奏するところをここでは「タァンタター」とやや付点を強調した奏し方となっており、それが結構効果的だった。
また、録音の素晴らしさも相まって、最後のフーガあたりの各パートの明瞭さという点では、ちょっと他の盤の追従を許さない。
私の「ジュピター」のイメージからすると、室内楽的にこじんまりとまとまりすぎており、また、あまりヨーロッパの香りがしないという感じはしたが、これはこれで優れた演奏ということはできると思う。

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