仲道郁代さん

電車の中で音楽を聴いたり、ちょっとディテールが気になって分析的に聴く時は別として、普段音楽を聴く時、私はほとんどヘッドホンというものを使わない。やはり空気を通した音を聴きたいからで、三次元空間の中での音の動きを聴きたいからに他ならない。それほど高級ではない家の装置でも、上手く再生できた時には左右の拡がりはもちろん、奥行き、高さ、聴き手までの程よい距離感、それにホール全体の空間がちゃんと感じられることもある。そして、再現される楽器(声)の質、存在感に加えて発せられた楽音の響きが空気の動きとして伝わってくる・・。

季刊ステレオサウンドの最新号(2008年夏号)を読んでいたら、「レコード演奏家訪問」のコーナーのゲストは仲道郁代さん。プロの演奏家というのはあまり再生装置に関心を持たない人が少なくない(それどころかCD等の演奏自体をあまり聴かない人もいる)が、仲道さんは、ゴトー・ユニット(スピーカー)をマルチ・アンプで駆動するという超本格派のオーディオ・ファイル。大切にしていることは、「空気が動く」感じだという。小さなシステムで聴くと、音がかたまってしまい、空気が動くどころか微妙なニュアンスも感じ取れなくなるという。そして、システムの調整はピアノの調律と同じで、自分の音楽を再現するための可能性の追求と考えているとのこと。インタビュアーの菅野沖彦氏も感嘆していたが、すごい人だと思った。
やはり、どんなに高い装置を揃えたとしても、ただ鳴らしっ放しではダメで、自分がイメージする理想の音にいかに近づけて行くか、どうしたらより良くなっていくか試行錯誤していくことが必要となる訳だが、そのためにはそれを聴き分け感じ取ることのできる、感度/感性が鋭く優れた耳(頭?)を持っていないと始まらない。その意味で、楽器を演奏するのも、オーディオ・システムを鳴らすのも同じことだとつくづく思う。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調~その2~

    Excerpt: 大昔、私がこの曲を東京文化会館で聴いた時(オケはどこだったか・・)、オルガンパートは電子オルガン(?)により演奏され、舞台上には2つの大きなスピーカーが置かれていたことを覚えている。 その後、サント.. Weblog: Zauberfloete 通信 racked: 2008-09-27 23:22
  • モーツァルト:ピアノソナタ全集/仲道郁代

    Excerpt: モーツァルトのピアノ協奏曲に比べて、ピアノソナタは自主的に聴く機会はかなり少ない。好きな曲が偏っている(K283,311,310,330,331,333,545など)ことや、ピアノ曲であれば変奏曲の方.. Weblog: Zauberfloete 通信 racked: 2014-04-03 20:52