驚異の13人楽団 モーツァルトとハイドンのト短調交響曲~もぎぎのオーケストラくわしっく鑑賞ガイド6~
エキサイティングで大変素晴らしいコンサートだった。
内容を見た瞬間、ネットでチケットを購入したのが去年の12月。半年間待った甲斐もあり、またわざわざ遠く(三鷹市芸術文化センター/風のホール)まで出かけた甲斐もあり十二分に満足した。私の大好きなモーツァルトの2曲のシンフォニー(K130ヘ長調とK132変ホ長調)を生きている間にナマで聴けるとは思ってもいなかった。このような企画を立てられた茂木氏にあらためて感謝の意を表したい。
プログラムは下記の通り。
○W.A.モーツァルト:交響曲第19番変ホ長調K132「クリスマス・キャロル」(1772)
○ 〃 交響曲第18番ヘ長調K130「ロイトゲープ」(1772)
○ 〃 ホルン協奏曲第1番ニ長調(原典版)/Hr独奏:丸山勉
~休憩~
○ハイドン:交響曲第39番ト短調Hob.Ⅰ‐39(1773)
○ヴァンハル:交響曲ト短調(1770)
○W.A.モーツァルト:交響曲第25番ト短調K183(1773)
(アンコール)
○ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲からホルン四重奏
○W.A.モーツァルト:交響曲第19番変ホ長調K132から第二楽章第一稿
茂木大輔(企画・指揮・解説)/オーケストラアンサンブル「風」(管弦楽)/大崎滋生(学術監修)
「モーツァルトとハイドンのト短調交響曲」というサブタイトルになってはいるが、実は今回の企画は「4本のホルンを使った18世紀のシンフォニー」、というのが正しい(?)内容。ザスラウの「モーツァルトのシンフォニー」からの示唆もあったのかも知れないがよくぞ採り上げてくれたテーマだと思う。
http://zauberfloete.at.webry.info/200710/article_15.html
モーツァルトと同時代のハイドン、ヴァンハルらがホルンを4本使用した曲、そしてト短調という調性を持った曲を辿りながら、かつ名奏者として名高いロイトゲープとの関係も考慮しながらアプローチするという、極めてマニアックな試み。
17:00に開演、途中15分の休憩をはさんで、アンコールが終わったのは19:45を過ぎていた。が、長時間という印象はまったくなく、もっと(K131など)聴きたかったというのが率直な感想。途中にはさまれる茂木氏の解説も大変分かりやすく、また興味深い内容で、ひじょうに参考になった。また、演奏中も常にステージ上部のスライドに曲の構造等が映し出されるという画期的な演出。
さて、演奏だが、そもそも「13人楽団」とは、当時の規模を再現するという意図のもとに作られたオケらしく、4・2・2・1・1の弦に加え、管楽器・チェンバロなどの少人数のもの(現代楽器&現代奏法)。素晴らしい演奏で、この時代の曲を演奏する限り、このくらいの規模でも十分、むしろ好ましいという気にもなった。最初の2曲のシンフォニーのみチェンバロが加えられていたが、これが大変センスの良い味付けで感心した。
私の座った席がステージに向かって左手のバルコニー席だったせいか、高弦がやや聴こえにくい(特にK130終楽章での3連符など)という感じはしたが、チェロ、バスは一人ずつでもまったく低音不足は感じなかった。ファゴットも常に加わっていたが、控えめな音量で好感が持てた。そして、やはり主役はホルン、ソリストの丸山氏ももちろん良かったが、25番以外のすべての曲で1番を吹いた今井氏は凄かった。あの超高音域を普通のダブル(トリプルだったかはちょっと見えなかったが)で、ほとんどハズすことなく余裕を持って吹ききっていた(K130のトリオなどはinC altoでGまで出てくる)。
モーツァルトのK132第二楽章の解説では、ザルツブルクのクリスマス・キャロルやバッハの「クレド」の録音を流したり、2ndヴァイオリン・パートだけで演奏してみたりと、大変分かりやすく説得力のあるものだった。なお、「クリスマス・キャロル」と「ロイトゲープ」は茂木氏による素晴らしい命名。また、今回配られたプログラムに載っていた大崎滋生氏による解説も大変参考になるものだった。
そして、ヴァンハルのシンフォニー、私は今回初めて聴く曲だったが、茂木氏の解説の通り、音楽史からは完全に忘れられた名曲で、特に第ニ楽章、VnとVlaによるソロは素晴らしい曲だと思う(ホルンの唐突な高音は驚いたが)。
さらに、アンコールでK132第二楽章の初稿まで演奏してくれるなど、最後までひじょうに良く考えられた企画だった(NHKはこのようなコンサートを中継すべきだと思う)。
最後になってしまったが、久しぶりに見る茂木氏の指揮は動きにムダがなく、自然で大変素晴らしかった。例えば、K132終楽章のアウフタクトのちょっとしたタメとか、やりたい意図がかなり浸透していたと思う。
蛇足ながら、私がやや違和感を感じた点と残念だった点を二つ。
○ハイドンの第二楽章アンダンテのテンポ
本来、緩徐楽章のハズがややテンポが速すぎたため、私にはメヌエットのような音楽に聴こえたこと。
○K130第二楽章のB管ホルン(3・4番)
ここはbassoではなくaltoで吹かなければならないところで、期待していただけにひじょうに残念だった。
http://zauberfloete.at.webry.info/200804/article_5.html
個人的には茂木氏に、3・4番ホルンをinB altoで吹かせた13管楽器のセレナーデの演奏をリクエストしたい。
内容を見た瞬間、ネットでチケットを購入したのが去年の12月。半年間待った甲斐もあり、またわざわざ遠く(三鷹市芸術文化センター/風のホール)まで出かけた甲斐もあり十二分に満足した。私の大好きなモーツァルトの2曲のシンフォニー(K130ヘ長調とK132変ホ長調)を生きている間にナマで聴けるとは思ってもいなかった。このような企画を立てられた茂木氏にあらためて感謝の意を表したい。
プログラムは下記の通り。
○W.A.モーツァルト:交響曲第19番変ホ長調K132「クリスマス・キャロル」(1772)
○ 〃 交響曲第18番ヘ長調K130「ロイトゲープ」(1772)
○ 〃 ホルン協奏曲第1番ニ長調(原典版)/Hr独奏:丸山勉
~休憩~
○ハイドン:交響曲第39番ト短調Hob.Ⅰ‐39(1773)
○ヴァンハル:交響曲ト短調(1770)
○W.A.モーツァルト:交響曲第25番ト短調K183(1773)
(アンコール)
○ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲からホルン四重奏
○W.A.モーツァルト:交響曲第19番変ホ長調K132から第二楽章第一稿
茂木大輔(企画・指揮・解説)/オーケストラアンサンブル「風」(管弦楽)/大崎滋生(学術監修)
「モーツァルトとハイドンのト短調交響曲」というサブタイトルになってはいるが、実は今回の企画は「4本のホルンを使った18世紀のシンフォニー」、というのが正しい(?)内容。ザスラウの「モーツァルトのシンフォニー」からの示唆もあったのかも知れないがよくぞ採り上げてくれたテーマだと思う。
http://zauberfloete.at.webry.info/200710/article_15.html
モーツァルトと同時代のハイドン、ヴァンハルらがホルンを4本使用した曲、そしてト短調という調性を持った曲を辿りながら、かつ名奏者として名高いロイトゲープとの関係も考慮しながらアプローチするという、極めてマニアックな試み。
17:00に開演、途中15分の休憩をはさんで、アンコールが終わったのは19:45を過ぎていた。が、長時間という印象はまったくなく、もっと(K131など)聴きたかったというのが率直な感想。途中にはさまれる茂木氏の解説も大変分かりやすく、また興味深い内容で、ひじょうに参考になった。また、演奏中も常にステージ上部のスライドに曲の構造等が映し出されるという画期的な演出。
さて、演奏だが、そもそも「13人楽団」とは、当時の規模を再現するという意図のもとに作られたオケらしく、4・2・2・1・1の弦に加え、管楽器・チェンバロなどの少人数のもの(現代楽器&現代奏法)。素晴らしい演奏で、この時代の曲を演奏する限り、このくらいの規模でも十分、むしろ好ましいという気にもなった。最初の2曲のシンフォニーのみチェンバロが加えられていたが、これが大変センスの良い味付けで感心した。
私の座った席がステージに向かって左手のバルコニー席だったせいか、高弦がやや聴こえにくい(特にK130終楽章での3連符など)という感じはしたが、チェロ、バスは一人ずつでもまったく低音不足は感じなかった。ファゴットも常に加わっていたが、控えめな音量で好感が持てた。そして、やはり主役はホルン、ソリストの丸山氏ももちろん良かったが、25番以外のすべての曲で1番を吹いた今井氏は凄かった。あの超高音域を普通のダブル(トリプルだったかはちょっと見えなかったが)で、ほとんどハズすことなく余裕を持って吹ききっていた(K130のトリオなどはinC altoでGまで出てくる)。
モーツァルトのK132第二楽章の解説では、ザルツブルクのクリスマス・キャロルやバッハの「クレド」の録音を流したり、2ndヴァイオリン・パートだけで演奏してみたりと、大変分かりやすく説得力のあるものだった。なお、「クリスマス・キャロル」と「ロイトゲープ」は茂木氏による素晴らしい命名。また、今回配られたプログラムに載っていた大崎滋生氏による解説も大変参考になるものだった。
そして、ヴァンハルのシンフォニー、私は今回初めて聴く曲だったが、茂木氏の解説の通り、音楽史からは完全に忘れられた名曲で、特に第ニ楽章、VnとVlaによるソロは素晴らしい曲だと思う(ホルンの唐突な高音は驚いたが)。
さらに、アンコールでK132第二楽章の初稿まで演奏してくれるなど、最後までひじょうに良く考えられた企画だった(NHKはこのようなコンサートを中継すべきだと思う)。
最後になってしまったが、久しぶりに見る茂木氏の指揮は動きにムダがなく、自然で大変素晴らしかった。例えば、K132終楽章のアウフタクトのちょっとしたタメとか、やりたい意図がかなり浸透していたと思う。
蛇足ながら、私がやや違和感を感じた点と残念だった点を二つ。
○ハイドンの第二楽章アンダンテのテンポ
本来、緩徐楽章のハズがややテンポが速すぎたため、私にはメヌエットのような音楽に聴こえたこと。
○K130第二楽章のB管ホルン(3・4番)
ここはbassoではなくaltoで吹かなければならないところで、期待していただけにひじょうに残念だった。
http://zauberfloete.at.webry.info/200804/article_5.html
個人的には茂木氏に、3・4番ホルンをinB altoで吹かせた13管楽器のセレナーデの演奏をリクエストしたい。
この記事へのコメント
茂木氏のブログのゲストブックからこちらを拝見しましたが、今回のコンサートに対しての大変深い理解と感想、文章に私も「見識のあるすごい聴衆もおられるものだ」と感銘を受けています。茂木氏の企画されたコンサートに追っかけのごとく出没していますが、曲の表面しか聞けていない私の勉強になりました(ちなみに私は大阪からこのコンサートを聞きに来ました。飛行機の時間に遅れそうになったため、アンコールの前に泣く泣く会場を後にしましたので、聞けなかったアンコール曲の情報もあり、助かりました)。
また、こちらのブログもときどき訪れたいと思います。
コメントありがとうございました。急いで書いたためやや表現が不十分なところもあったので少し本文を修正しました。
当日の聴衆の方々は、地元の方がほとんどと思っていましたが、大阪からいらっしゃったとは驚きました。私自身、「遠くまで出かけた」などと書いてお恥ずかしい限りです・・。
本当に素晴らしいコンサートだったと思います。私も茂木氏の大ファンで、本はすべて読んでいます。今後はコンサートにも通おうかと思っています。