ヘルムート・ハンミッヒ

TC(Ticket Classic)ArtGaia CLUB MAGAZINE 9月号(フリーペーパー)を見ていたら、高木綾子さんの記事が出ていた。
インタビューの冒頭から、「実のところ、フルートの音色はあまり好きじゃないんですね。子供の頃たまたま手に取ったのがフルートでそのままずっとフルートをやってきて、いま自分の音楽を表現できる技術があるのがフルートというだけなんです。」という衝撃的な話から始まる。
が、「ただ、私の使っている楽器の音色だけは好きなんです。」、つまりフルートが好きというのではなく、この楽器が好き、という。その楽器とは「HELMUTH HAMMIG No.442」。高木さんのディスクには必ずこの楽器名がクレジットしてある。
ハンミッヒとは、「旧東独のフルート/ピッコロメーカーで、かのカールハインツ・ツェラーが愛用していた」くらいの知識しかなかったのだが、あらためて調べてみると、現在は下記の2社があるようだ。
一つは、アウグスト・リヒャルト・ハンミッヒとフィリップ・ハンミッヒを継いだ会社。
http://www.hammig-boehmfloetenbau.de/
1970年代では、日本でハンミッヒと言ったらフィリップのことを指していたらしく、現在もハンミッヒといえばほとんどがフィリップのピッコロのことらしい。
もう一つは、二代のヨハネス・ハンミッヒを継いでベルンハルト・ハンミッヒとなった会社。
http://www.hammig-flutes.com/
元ベルリン・フィルのカールハインツ・ツェラー氏、セヴェリーノ・ガッツェローニ氏などが使用していたことで知られている。ハンミッヒの銀管フルートの中では最も愛好家が多いと言われている。
詳しくは、ホームページの解説に譲るが、要するに、グスタフ・アドルフの二人の息子、フィリップとアウグスト・リヒャルトがハンミッヒの名を確立し、アウグスト・リヒャルトの二人の息子、ヘルムートとヨハネス、フィリップの息子ゲアハルトがそのあとを継いでいる(以下の家系図を参照)。
http://www.hammig-flutes.com/engl_seiten/tradition/family_tree.html
この家系図を見るとわかるように、ヘルムートの代は途絶えている。ヘルムートは、ハンミッヒ中最も希少かつ値段も高く、音色も吹奏感も重厚の一言に尽きる楽器を作っていたとのこと。
高木さんが言うには、「優しい、きれい、きらびやかというのがフルートの一般的なイメージですが、この楽器はもっと生々しいというか、人間味のある音を出すんです。楽器というよりは人の声の感じ。普通のフルートが細くてきれいな絹糸のような音色だとすれば、この楽器は木綿とか麻。太くてざらざらした手触り感があり、それがふわりと包み込むような音色」だそうである。
旧東独時代に四百数十本作られたもので、純銀製だが、通常のフルートよりは銀の純度が低く混ざりものが多いために重厚な独特の音を出す(ウィーン・フィルで使っていたヘッケル社製のトランペットにも同じような話があったことが思い出される)という。
あらためて、高木さんのディスク(Air Bleu)をじっくり聴いてみたが、確かに、華やかというよりはしっとりと落ち着いた、どちらかというと地味な音色だと思う。
彼女くらいの音楽性とテクニック、それにこの音色を持っていれば、ドイツのAクラスオケの首席は十分務まると思うのだが、以前一回だけ、N響のゲスト首席(?)で吹いていたことはあったものの、ご本人にはそのような気はないのだろうか?最終的にソリストで活躍する(すでにソリストだが)にしても、オーケストラの経験というのはひじょうに大切だとハンス=ペーター・シュミッツが言っていたのを読んだのは記憶に新しい。

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この記事へのコメント

JS
2008年09月12日 23:03
高木綾子さんのN響のエキストラは、私が聴いた限りでは3回あります。
シベリウスとブラームスの交響曲で1番フルート、あと、2番フルートが1回あります。ベートーヴェンだったか、記憶が曖昧ですが。
存在感のある、独特の音質だったように記憶しています。
N響のフルートパートは中野富雄さんが故障しているためやり繰りは大変のようです。真鍋恵子さん(日フィル)もトラに来て1番フルートを吹いたことが1回あります。

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  • 高木綾子さん

    Excerpt: 前回(ヘルムート・ハンミッヒ)の最後に、オケをやりたくないのだろうかと書いたのだが、 http://zauberfloete.at.webry.info/200709/article_15.html.. Weblog: Zauberfloete 通信 racked: 2007-09-27 21:48