ハイドン:交響曲第88~90番/Weil=Tafelmusik

ラトル=BPOのディスクを聴いて以来、交響曲第90番の終楽章のメロディーがずっと頭から離れない・・・。
http://zauberfloete.at.webry.info/200708/article_13.html
家にはA.フィッシャー=オーストリア・ハンガリー・ハイドンOによる演奏のディスク(Nimbus)しかないので、とりあえず他の演奏を聴きたくなった。
カタログを見て、まず興味が沸いたのは、ブルーノ・ヴァイル=ターフェルムズィーク・バロック管弦楽団による88・89・90番のディスク(SONY/1994)。しかしこのディスク、現在入手不可能の模様・・、が、たまたま図書館の検索をかけたら在庫があったため予約してやっと借りてきた。私はもともと古楽器による演奏はあまり好まないのだが、この演奏はぜひ聴いてみたかったものの一つ。
演奏は期待に違わず、生気に溢れ、ハイドンの音楽が生き生きと再現されている。エリクソン&シェルマンによる録音も素晴らしい。
このディスクには監修:H.C.ロビンズ・ランドンの名前が特別にクレジットされており、ランドン自身による詳細で大変興味深い解説が付いている(1995年/以下一部抜粋)。

(交響曲第90番の)終楽章の最後に近づく頃、音楽はあたかも完全に停止するように思わせる。しかし、4小節の全休止のあと、楽章は変ニ長調で再現する(すなわち半音低められた上主音で、あるいは「ナポリ風に」)。これは典型的なハイドン風のジョークで、ここから大規模なコーダが続く。ここでは、輝かしいピアノ奏者・作曲家ムツィオ・クレメンティによる当時のハイドンについて次のような描写が想起される(バーニーの報告による「ハイドン年鑑Haydn Yearbook」第18巻、307ページを参照のこと)。
ハンガリーのエステルハージィ侯爵家で彼(ハイドン)に会ったクレメンティによれば、彼は褐色の顔をした小男で、50歳ほどで鬘をつけていて、自分の作品で気まぐれな箇所をどこか耳にすると、ばかのように笑う。


また、この解説書にはターフェルムズィークのメンバー表が添えられており、それによれば弦楽器は、7・6・4・3・2という小編成。メンバーの中で知っている名前はホルンのアブ・コスターただ一人。が、このホルンが凄い。
第90番には、通常のピッチより一オクターヴ高い「高いC管(C alto)」ホルンが使われている。当時のホルンやトランペットにはバルブやロータリーは備えられておらず、換管を用いて(場合によっては楽器そのものを換えて)その曲の調性に合わせて演奏されていた。ハ長調であればC管、ニ長調であればD管・・、という具合に。ホルン奏者にとっては通常、この調性の境界(高い方か低い方か)は変ロ調であり、高いハ調というのはきわめて異例である(モーツァルトにもごくわずかの例はあるが)。真ん中のドがF管ホルンの高いソになる訳なので・・。
解説の最後に、ランドンの訳を担当した飯森氏のコメントがあり、氏がヴァイル氏にインタビューした時の話がのっている。それによれば、演奏者たちは当初、演奏しやすい「低いC管」ホルンを使用することを希望したが、ランドン氏が「高いC管」ホルンを使用することにこだわったため、2回の演奏会で各々のホルンを試したという。結局この「高いC管」ホルンがめざましい効果を上げたために、楽器の選択が決定したとのことである。確かに、この演奏を聴くと「高いC管」ホルンの効果は凄いものがある。想像を絶するハイトーンの連続で、奏者にとっては二度と演奏したくない曲だったであろうことは疑いない。

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