カラヤン:チャイコフスキー交響曲第4番

カラヤンの誕生日(4/5)は過ぎてしまったが、今回はカラヤンのチャイコフスキーについて。
EMI GEMINIシリーズの新譜(2枚組)でカラヤン=ベルリン・フィルによるチャイコフスキー交響曲第4~6番が発売された。
1971年9月16~21日、ベルリン・イエスキリスト教会での録音。カラヤン=ベルリン・フィルにとっては1960年代中頃(DG)に次ぐ2回目の録音。この後、1970年代後半に再度DGに録音(この時は確かチャイコフスキーの全集だった)、さらに1980年代になってからウィーン・フィルと3曲の交響曲を映像とともに収録している。
私は、映像を除くすべてのディスクを持っているが、この1971年の演奏(特に第4)が最も優れており、他のすべての演奏よりこれを好んでいる。
さて、この第4、私が初めて買ったのは、もう今から40年近く前、どこかのデパートのバーゲンで見つけた米エンジェルの輸入盤(1500円くらい)だった。その後、国内盤のLPに買換え、CD時代になってから、英EMIから出たチャイコフスキーの4・5・6番のセットを購入した。しかし、そこに入っていたのは、同じカラヤン=ベルリン・フィルでもこの第4だけが1960年録音の演奏。その後、東芝EMIからセラフィム・シリーズとしてリリースされたのだが、かなり悪い音質でがっかりしたものだった。そして、今世紀になってから、Disky Communications Europeというところが、EMIからライセンスを受けて画期的なリマスター盤が登場した。が、その時も第5と第6のみで、第4だけは外されていた。この時のアナウンスの中で、第4はマスターテープ破損のため除外という解説があったため、もう第4の再発はありえないと思ったものだった。
ところがつい最近、韓国EMIで第4発売のニュースが流れ、そして今回のGEMINIシリーズの登場。
Tレコードの店頭で、一応一番詳しいとされる店員の方に、この録音は本当に71年のものかということと音質はどうかと質問すると、さすがによく知っている人で、以前の国内盤よりは良いという、が、この方が良いと出してくれたのはワリと最近出たらしい国内盤(EMIクラシックス決定盤1300シリーズ)。価格はGEMINI盤とほぼ同じで、第5・6は同じものをもう2枚ずつ持っているので、結局国内盤の方を購入した。
帰ってから聴いてみると、確かに以前の国内盤よりは良くなっているものの、終楽章の大太鼓が入ったフォルッティシモでは音が飽和してさすがに無理がある。とはいえ、この演奏を久しぶりに聴いて大変満足した。
とにかく、全曲がライブ録音とも思えるテンションの高さと勢いに満ち、それでいてアンサンブルも全く破綻がないという、黄金時代のベルリン・フィルの実力をまざまざと見せつけられる演奏。第一楽章冒頭のファンファーレから緊張に満ち、モデラート・コン・アニマに入ってからも、微妙なテンポのユレ、たたみかけるアチェレランド、ものすごいダイナミクス、本当に一糸乱れぬアンサンブルに驚愕。中でもゴールウェイのフルートは冴え渡る・・。コーダの最後11小節はおそらくこれ以上速い演奏は存在しないと思う。
第二楽章のオーボエ・ソロ、今まではコッホと思っていたが、今回じっくり聴き直してみたら高域の華やかさや中域の音色などからシュタインスのように思えてきた。試しに77年のDG盤を聴いてみたらこれはまぎれもなくコッホであることを確認、やはりこの71年盤はシュタインスだと思う。あと、最後のファゴット・ソロ、チェロのFの伸ばしが終わりきらないうちにかぶさって入ってくる吹き方、ほとんど止まりそうになるくらいまでテンポを落とすのはカラヤンの指示なのか、ピースクが主導権を取っているのか・・。ちなみにこの71年盤は後のDG盤と比べて、第二楽章が約1分長く、第三楽章は逆に約30秒も速い。
そのスケルツォは、もう見事としか言いようのない演奏。特に、中間部(メノ・モッソ)に入ってからの木管群のアンサンブルが凄い。精度の高さに加えてそのクレッシェンドのかかり方。ここまで大きな音が出ることとそのダイナミクスの広さには呆れるばかり。ピッコロのソロももちろん凄いが・・。
終楽章はもう常識を超えた演奏。弦と管の掛け合いなど尋常ではない。これは本当に(編集などない)一回限りの演奏だろうと確信する。
この演奏と比較できるのは、ザンデルリンクが非公式録音で残したベルリン・フィルとの演奏くらいだろう。

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