バッハ:オーボエ・ソナタト短調BWV1020

宮本文昭によるオーボエ、ピアノは井上直幸による演奏(TOWER RECORD RCA Precious Selection1000 No.22)。録音は1974年、このとき宮本25歳、エッセン市立交響楽団の首席奏者に就任する前年の貴重な記録。曲目は下記の通り。
○モーツァルト:オーボエ・ソナタへ長調
○ドニゼッティ:オーボエ・ソナタヘ長調
○バッハ:オーボエ・ソナタト短調BWV1020
○ブリテン:「オヴィディウスのよる6つの変容」
○モーツァルト:幻想曲ニ短調K397
モーツァルトには、オーボエ・ソナタという作品は存在せず、このへ長調K13という作品は、1764年、モーツァルトがパリからロンドンに向けて旅行した時に作曲したと言われている「6曲のヴァイオリン、またはフルート付のクラヴサンのソナタ」の一曲である。ドニゼッティのソナタも初めて聴く曲だったが、なかなかの佳曲。ブリテンの曲は、無伴奏オーボエ・ソロの有名な曲だが、私にとっては初めてのディスク。
宮本の音色は、やや細身でどちらかというと明るめだが、艶やかで伸びがあり美しく、華麗で良く歌う。私が最も感銘を受けたのはバッハのソナタ。
このBWV1020ト短調、元来は、フルートとチェンバロのためのソナタで、最近の研究ではカール・フィリップ・エマヌエルの作とされているようである。が、偽作かどうかは別として個人的には好きな曲で、やや憂いを含んだメロディ、伴奏との掛け合いなど聴きどころが多い。
宮本の演奏を聴いていたら他の演奏を聴いてみたくなった。
CD棚を探すが、ハウプトの全集やグラーフ、ニコレの曲集にもこの作品は含まれておらず、出てきたのはゴールウェイ&モル(RCA/1993)、マイゼン&ビルグラム(camerata/1977)のみ。ゴールウェイの演奏はかなり禁欲的とはいえ、やはりロマンティク。音色も美しいが、マイゼンの演奏を聴くとあまりの違いにあらためて驚く。音色もとりたてて美しい訳でもないのだが、しっかりとバッハの音楽が聴こえてくる。格調の高さというか伝統というか言葉ではなかなか言い表せない存在感を感じた。
もう一枚、シェレンベルガーがシュース(ハープ)とシュトール(ヴィオローネ)と共演したディスクがあった(CAMPANELLA/1996)。伴奏楽器が違うと開けてくる世界も異なってくる。シェレンベルガーのオーボエは意外に地味で、宮本を聴いたあとではやや艶やかさに欠けるという印象を持ったが素晴らしい演奏であることに間違いない。
フルートでは「静かに、淡く」響くこの曲も、オーボエで吹くとより濃い味付けになるのは楽器の性格上当然で、この曲の場合、私にはオーボエの方がふさわしいようにも思える。
聴き終わった後も、(残念ながら録音は残されていないのだが)コッホが吹いたら99%の確信を持ってこうなるであろうという音楽が、私の頭に鳴り続けていた・・。

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この記事へのコメント

mattina
2007年03月18日 19:34
Zauberfloeteさん、こんばんは。「魔笛」のいい盤をいろいろ教えていただいて、本当に有難うございました。早速お勧めのを買おうと思います。ほんとにモーツァルトのオペラって最高ですね!

http://blog.livedoor.jp/ellencoo/

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