ブラームス:交響曲第1番~その8:ベーム=BPO 素晴らしい木管群の響き~

ベームにとってこの曲のベルリン・フィルとの唯一の録音(DG)。録音は1959年10月ベルリン・イエスキリスト教会。
第一楽章は絶妙なテンポとバランスで始まる。硬めのティンパニの音と厚い低弦。オーボエの音色、歌い方は大変素晴らしい。アレグロはやや速めだが決して揺らぐことのない地に足が着いた演奏。古風といえば古風だがこれが昔のベルリン・フィルの音だったのだと納得する。
第二楽章は何をおいてもオーボエ・ソロが絶品で聴き惚れてしまった。また、後半、特にヴァイオリン・ソロが入るあたりからの優美さは素晴らしい。このヴァイオリン・ソロはシュヴァルベのようである(私のディスクにはクレジットがないが何かに書いてあった)。
第三楽章はたいへんクリアなクラリネットが印象的。幾分速めのテンポで音楽もよく流れる。
終楽章は緊張感のある序奏、フルートソロはこの上なく素晴らしい。官能的でこれ以上美しい音はないと思わせるまさに天上の響き。アレグロ・ノン・トロッポ・マ・コン・ブリオ以降は比較的即物的に流れるが、トゥッティの合間に現れる木管の美しいこと。
結局、最初から最後まで木管楽器(特にフルートとオーボエ)の美しさと上手さに魅了され続けた演奏だった。では、これらの奏者は一体誰なのか。まず、フルート。終楽章のソロは私が聴いたすべてのブラームス第1の中で最も美しいと思う。
私は一聴して、ツェラーだと思ったのだが、念のため歴代のベルリン・フィル首席フルーティストを調べてみた。その結果は下記の通り(カッコ内は首席を務めた期間)。
○ハンス・ペーター・シュミッツ(1943~1950)
○オーレル・ニコレ(1950~1959)
○フリッツ・デムラー(1950~1970頃)
○カールハインツ・ツェラー(1960~1969)
私は以前、何かでベームのブラームス(当盤)のトップを吹いているのはシュミッツであるという記事を読んだことがあるのだが、上記在任期間からしても違うと言わざるを得ない。また、ツェラーも1960年入団ということはこの録音時にはまだ在籍していなかったことになる。ということで可能性があるのは、ニコレとデムラーだが、この録音を聴く限りニコレの音とは思えない。またProf.デムラーの音を直接私は知らないのでこれも何とも言えない、ということで結論は出せず。
次にオーボエ。第一楽章のソロはシュタインスかと思ったのだが、第二楽章のソロを聴くとコッホ(1957年9月に首席奏者として入団)のようにも感じられる。判断がつきかねていたが、ドイツスタイルのオーボエに詳しい某HPによれば、ここでソロを吹いているのはシュタインスとのこと。確かにこの頃のシュタインスとコッホはかなり似ているのでなかなか判別が難しいことは事実。私も何回か聴いてみて、華麗なヴィブラートと、抑揚のある歌い方、柔らかい音色からシュタインスではないかと結論づけたい。
いずれにしても、このフルート、オーボエを始め木管群はひじょうに美しくエレガントで、他の演奏に比べ抜きん出て素晴らしい。ではこのベーム盤がベストかと言うと、私にとっての不満はホルン。特に終楽章での演奏はデリカシーに欠け残念だった。

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この記事へのコメント

Jimmy
2008年01月28日 14:50
ベーム=BPOのブラームス:交響曲第1番のフルートはマティアス・リュタースが吹いています。知人から得た情報ですが、リュタース自身もそう言っていたどうです。
2008年01月28日 21:13
Jimmy様
貴重な情報ありがとうございました。また情報提供をお願い致します。

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  • マティアス・リュッタース

    Excerpt: 2006/10/21の私のブログを見た方から、ベーム=ベルリン・フィルのブラームス:交響曲第1番のフルート奏者を教えていただいた。 http://zauberfloete.at.webry.info.. Weblog: Zauberfloete 通信 racked: 2008-01-28 22:05
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    Excerpt: エクアール クラシック名曲名演紹介 Weblog: エクアール ~クラシック名曲紹介~ racked: 2009-01-20 17:37
  • ブラームス:交響曲第1番/ベーム=ベルリン・フィル

    Excerpt: 私がこれまで持っていたのは、DGの20世紀の巨匠シリーズ:カール・ベームの芸術というシリーズの一枚で、2006年に発売されたもの。OIBPのリマスタリングによる1200円の廉価盤だった(UCCG-.. Weblog: Zauberfloete 通信 racked: 2011-08-27 12:31
  • レコード芸術2012年5月号

    Excerpt: 「レコード芸術」の最新号をやっと読んだ。現在、私が購読している唯一の雑誌。 買ってしまうとなかなか真剣に読まず、図書館で借りた本などを優先して読んでしまう。また、電車の中などでは文庫/新書など小さい.. Weblog: Zauberfloete 通信 racked: 2012-05-15 22:30