トリオ・ディ・クラローネ

「トリオ・ディ・クラローネ」は、ザビーネ・マイヤーとその兄ヴォルフガング・マイヤー、ザビーネの夫であるライナー・ヴェーレによって1983年に結成された。 claroneはイタリア語で「大きなクラリネット」の意で、バス・クラリネット やバセットホルンを指すと言われており、ここでのクラローネはバセットホルンのことである。
バセットホルンとは、通常へ調(まれにト調)の管長を持つ低音クラリネットで、マウスピース付近で管体が曲がっており、管の先には上向きのベルがついている(一見するとアルト・クラリネットとそっくりである)。また、通常のクラリネットの最低音は記音ホまでなのに対し、バセットホルンの最低音は記音ハまで拡張されている。バセットホルンの音色は、クラリネットの音色と似ているものの、クラリネットより暗く、渋く柔らかい音である。
この、トリオ・ディ・クラローネが結成されたそもそもの目的は、モーツァルトのディヴェルティメント(当初偽作K.Anh.229と考えられていたが、のち K.439b という番号を与えられ1783年作とされた) をオリジナルの編成で、この曲にふさわしい小さな会場で演奏したいためだったという。
実際に、それらの曲でCDデビューして以来、何枚かのディスクがリリースされてきたが、最新録音がこの「UNA VOCE PER CLARONE」(Avi42 6008553 001 4)。収録曲は下記の通りだが、これまでと異なっている点は、「ドン・ジョヴァンニ」からのアリアとベートーヴェンのトリオを除いて、ピアノ伴奏がついていること。そして、3人のメンバーがそれぞれクラリネットでソロを吹いている。
○モーツァルト(R. ショットシュテット編):「コジ・ファン・トゥッテ」から
○ロッシーニ(I.ミュラー編):「セビリアの理髪師」からロジーナのカヴァティーナ(W.マイヤー独奏)
○ベートヴェン:「ドン・ジョヴァンニ」から’お手をどうぞ’の主題による変奏曲WoO28
○ヴェルディ(L.バッシ /A.ジャンピエリ編):「リゴレット」の主題によるコンサート用ファンタジア(S.マイヤー独奏)
○モーツァルト(R. ショットシュテット編):「ドン・ジョヴァンニ」より3つのアリア
○ウェーバー:「ジルヴァーナ」の主題による協奏的変奏曲Op.33(R.ヴェーレ独奏)
○ドップラー(R. ショットシュテット編):リゴレット幻想曲Op.38
トリオ・ディ・クラローネ、カレ・ランダル(P)
マイヤー兄妹、ヴェーレ、皆同じエーラー式のドイツタイプの楽器とはいえ、微妙にニュアンスが異なり、華やかで抑揚のある歌い口のザビーネ、翳りを含んだ渋いマイヤー兄(個人的には最も好み)、適度に柔軟でかつ手堅いヴェーレ、とそれぞれに卓越した技巧を聴かせる。クラリネット、特にドイツ管を好む人にとっては必聴のディスクである。
なお、「ドン・ジョヴァンニ」からの3曲のアリアは、以前、「Belcanto」というディスク(EMI/1997)に収められていたものの再録。このディスクはモーツァルトのオペラのアリアをバセットホルン三重奏に編曲したもので、個人的に最も気に入っている素晴らしい名盤。
また、ライナー・ショットシュテットは、ギュルツェニヒ・オーケストラ・ケルンのファゴット奏者で、編曲者として著名な人物。これまで管楽器を中心にした素晴らしい編曲を数多く行っている。

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