カラヤン「ドン・ジョヴァンニ」

私が所属している団体の掲示板に、「ドン・ジョヴァンニ」序曲の43小節目の第一ヴァイオリンの音はBかHか、という話が出ていたため、家にあるCDを聴き比べた。結果は、当然のことながら10対1でH。ちなみにBで演奏していたのは、ベーム=プラハ国立歌劇場O(1967/DG)のみだった。Dover版のスコアのエディターズコメントにも、モーツァルトがフラットをつけ忘れたのでは、という見解もあるとの記述があったが、これはどう考えてもBというのはありえないと思う。
ちょっと気になったので、念のためCD以外にも映像ものも確認しておこうと思い、カラヤン盤を観始めたのだが、結局、約3時間、最後まで観てしまった。
序曲のみカラヤンとオーケストラが映る。シュルツ、トゥレチェック、シュミードル、トルノフスキーらに加え、オーボエの2ndにはガブリエル、ラッパにはガンシュの顔も見える。それにしても序奏からアレグロに入るあたりのカラヤンの指揮は鮮やかと言う他ない。
そもそもこれは、カラヤンのレガシー(遺産)シリーズの一枚。1987年のザルツブルク音楽祭での公演を収めたものである。カラヤンは1985年に、公式には初めて「ドン・ジョヴァンニ」をベルリンフィルと録音している。その時と今回の歌い手で異なっているのは、ドンナ・エルヴィラだけで、CDではアグネス・バルツァだったが、ここではユリア・ヴァラディが歌っている。それ以外は歌い手は全て同一、ということは、録音のためのリハーサルの成果をもとに、この公演がなされたとも考えられる。もっともオーケストラは今回はウィーンフィル、が、彼らにとっては日常茶飯事のレパートリーであり、何の問題もなかったであろう。
演出は、ミヒャエル・ハンペ。光の使い方やその細かく行き届いた演出は、モーツァルトの音楽を際立たせることはあっても、決してでしゃばりすぎず好感が持てる。
第一曲目のレポレロの歌がオケとズレたりしてどうなることかと思わせたりするが、その後は持ち直し、かなり充実した舞台となっている。ツェルリーナのバトルは、CDの方が若々しさがあったり、逆にオッターヴィオのウィンベルイはさらに成熟した歌唱を聴かせたりする。
詳細は書き出すとキリがないが、これはこれで大変充実した、完成度のひじょうに高い公演であり、視覚的にも、音楽的にも「ドン・ジョヴァンニ」の一つの理想形であることは間違いないだろう。

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