3月のうた

何回か前の新日曜美術館のバックグラウンドミュージックで、「3月のうた」が流れていた。
谷川俊太郎の詞に武満徹が曲をつけた知られざる名曲(作曲は1965年)である。
武満徹は、本来の(?)領域とは別に、映画音楽や、さらに歌曲の分野でも優れた作品を多く残している。昭和前半のモダンな歌謡曲風の歌や、フォーク・ソング、童謡のような歌、クルト・ワイル風の歌など、いわゆる芸術歌曲にはない、シンプルで分かりやすく、優しさく温かい日本語の自然な息遣いを持った歌の数々・・。
なお、これらの作品は、歌曲というより、うた、ソングと呼ぶべきなのかも知れない(下記参照)。
http://tierkreis.web.infoseek.co.jp/weblog/archives/2000/06/aaaa.html
これらのうたは、合唱に編曲されたり、ギターなどのインストゥルメンタルでも演奏されることもあるが、個人的にはやはり女声で聴きたい。保多由子、加藤登紀子、ドミニク・ヴィスなども歌っているが、本命は何といっても石川セリ、波多野睦美が歌ったディスク。
石川セリは「翼 武満徹 ポップソングス」(DENON COCY78624)、波多野睦美は「アルフォンシーナと海」(ワーナー WPCS11475)というアルバムにそれぞれ収められている。
二人のアプローチは全く異なるが、それぞれに味があり大変素晴らしい。
石川セリのちょっと気だるく、憂いを含んだ歌唱に対し、波多野睦美は、澄み切った空を思わせながら、そこに悲しみが込められた、ちょうどモーツァルトの長調の曲のような表情が心を打つ。私は一度、波多野のコンサートのアンコールで歌われたこの曲を聴いたことがあるが、その日のダウランドの世界とは全く別の、懐かしさと言うか、「日本」を感じないでいられなかったことをよく覚えている。

 わたしは花を捨てて行く
 ものみな芽吹く三月に
 わたしは道を捨てて行く
 子等のかけだす三月に
 わたしは愛を抱いて行く
 よろこびとおそれとおまえ
 おまえの笑う三月に

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 波多野睦美リサイタル

    Excerpt: 昨年10月28日、王子ホールで行われたリサイタルの録画を観た。クラシック倶楽部(NHK-BS2)で放映されたもの。 波多野睦美のリサイタルはこれまでほぼ毎回聴きに行っていたし、CDもほとんど購入して.. Weblog: Zauberfloete 通信 racked: 2010-02-16 23:20